
1.呼吸の練習で目指すこと
穏やかな呼吸は、身体の力みを落ち着けるためのセルフケアの一つです。痛みが強いと、呼吸が浅く速くなることがあります。[6]
横隔膜は、胸とお腹の境目にある筋肉です。息を吸うときに働き、その一部は腰の骨に付着しています。[3]

2.自宅で試す呼吸の手順
まず、第5章の受診を優先したい症状がないことを確認してください。医師から運動や呼吸について指示を受けている方は、その指示を優先します。
楽な姿勢を選ぶ
背もたれのある椅子に座る、ベッドで膝を曲げて仰向けになるなど、腰がつらくない姿勢を選びます。座る場合は足裏を床につけ、身体を締めつける服は少し緩めましょう。仰向けがつらい方は、座ったままで構いません。[5]
息を頑張って吸わず、穏やかに吐く
- 肩や腕の力を抜き、楽に呼吸できる状態をつくります。
- 無理に大きく吸おうとせず、鼻から穏やかに息を吸います。
- 口から穏やかに吐き、苦しくならない速さで繰り返します。[5]
まず数回試し、心地よく続けられるか確かめましょう。回数や秒数を目標にする必要はありません。お腹を大きく膨らませようと力んだり、息を長く止めたりしないでください。
気分が悪くなったら中止する
めまい、息苦しさ、気分不良、腰痛や脚のしびれの悪化が出たら中止してください。症状が続く場合は、医療機関に相談しましょう。胸の痛みを伴う場合などは、第5章の目安に従って受診を優先してください。

3.呼吸のあとに確かめること
少し落ち着けたか、肩やお腹に余計な力が入っていないかを確かめてください。すぐに痛みを消そうと頑張らず、心地よく続けられる範囲で行いましょう。
受診が必要な症状や医師からの制限がなければ、歩く・座る・家事をするなど、日常生活でできる動きは無理のない範囲で続けましょう。[7] 痛みを確かめるために、つらい動作を繰り返す必要はありません。
運動の種類や量が分からない場合、動くたびに症状が強くなる場合は、整形外科で相談してください。自分に合う運動は、身体の状態に応じて選びます。[8]
仰向けで腰がつらい場合の過ごし方は、仰向けで寝ると腰が痛いときの考え方でも紹介しています。

4.呼吸と腰痛の研究で分かっていること
脊椎に構造的な問題がある慢性腰痛の方と、腰痛のない方で、横隔膜の動きが異なるという小規模研究があります。呼吸の浅さが腰痛の原因だと示したものではありません。[2]
体幹の運動に呼吸運動を加えた小規模研究で、痛みや生活上の支障がさらに軽くなる効果は明確ではありませんでした。[4] この記事で紹介しているのは、リラックスを目的とした穏やかな呼吸です。研究で用いられた訓練とは異なります。[5][6]
WHOは、特定の病気などで説明されない、3か月を超えて続く腰痛について、本人の状態に合わせた運動やセルフケアの支援を勧めています。身体面に加え、気持ちや生活環境も考慮し、必要な方法を組み合わせる考え方です。[1]


5.セルフケアより受診を優先したい症状
長く続く腰痛であっても、新しく出た症状を「いつもの腰痛」と考えないことが大切です。
すぐに救急受診が必要な場合
腰痛とともに、次の症状が出た場合は救急受診を優先してください。[7]
- 両脚の痛み・しびれ・力の入りにくさ
- 股の間や肛門のまわりの感覚低下
- 尿が出にくい、尿や便が漏れるなどの変化
- 胸の痛み
- 大きな事故や転落のあとの痛み
自分で運転せず、移動が難しい場合は119番で助けを求めてください。
当日中、または早めに相談したい場合
発熱や悪寒で全身の具合が悪い、突然の非常に強い痛み、急速に悪化する痛みがある場合は、その日のうちに医療機関へ相談してください。[7]
片脚のしびれや力の入りにくさ、じっとしていても軽くならない痛み、理由の分からない体重減少がある場合も、セルフケアを続けて様子を見ず、早めに医療機関へ相談しましょう。数週間たっても改善しない、仕事や家事が難しい場合も相談の目安です。[7][8]
呼吸の練習や施術の予約、LINEの返信を待つ必要はありません。
6.腰痛のご相談について
静岡市葵区のからだ鍼灸整骨院では、「家事を続けるとつらい」など、困っている場面や、できるようになりたいことを伺います。実際の動きや筋肉の状態を確認し、その状態に合わせて鍼や筋膜リリースなどの方法を選びます。内容をご説明してから施術し、前後で同じ動作をして変化を確かめます。今後の見通しやセルフケアについてもお伝えします。
当院では病気の診断や画像検査は行えません。第5章の症状がある場合は、そこに示した緊急度に応じて、先に医療機関へご相談ください。
ご相談の際は、「いつから痛むか」「いちばん困る動作」「医療機関で受けた説明」を分かる範囲でお知らせください。症状をうまく説明しようと、事前にまとめきる必要はありません。施術については腰痛の施術について、来院の流れははじめての方へ、費用は料金のご案内で確認できます。
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参考資料
作成:からだ鍼灸整骨院(静岡市葵区)。第1〜5章は下記の公開資料に基づく一般的な情報、第6章は当院への相談のご案内です。個別の診断に代わるものではありません。
資料確認日:2026年10月5日。
- WHO「慢性原発性腰痛のガイドライン公表に関する解説」(2023) — 対象、運動・セルフケア支援、身体・心理・社会面を合わせた対応。特定の病気が原因の腰痛や急性腰痛へそのまま適用しない。
- Vostatek P, et al. Diaphragm Postural Function Analysis Using Magnetic Resonance Imaging(2013) — 構造的な脊椎の問題がある慢性腰痛群と対照群の横隔膜の動きを比較した小規模研究。原因を証明する研究ではない。
- University of Arkansas for Medical Sciences「Muscles of the Abdominal Region」 — 横隔膜の付着と、息を吸う際の働き。
- Masroor S, et al. Effect of Adding Diaphragmatic Breathing Exercises to Core Stabilization Exercises …(2023) — 慢性腰痛の22人を対象とした4週間の比較試験。呼吸運動を加えることによる追加効果を検討。
- NHS「Breathing exercises for stress」 — 楽な姿勢、無理をしない穏やかな呼吸の手順。腰痛治療の効果を示す資料ではない。
- NHS「10 ways to reduce pain」 — 痛みがあるときの呼吸とリラックス、日常の活動の考え方。
- NHS「Back pain」 — 活動の継続、救急・当日・通常受診の目安。英国の医療制度に関する部分は国内の受診案内に合わせた。
- 日本整形外科学会「腰痛」 — 原因が多様であること、受診を優先する症状、個人に合わせた運動の相談。
筆者紹介

からだ鍼灸整骨院 院長 長野 圭佑
保有資格・専門分野
- 鍼灸師・柔道整復師(国家資格)
- NESTA PTI(パーソナルトレーナー)
- アクティブリリーステクニックマスタープロバイダー
- 臨床トリガーポイント
- TPI(タイトリストパフォーマンス研究所)





