
1.まず確認:救急・当日の受診が必要な症状は?
ぎっくり腰とは、急に起きた強い腰の痛みを指す一般的な呼び名で、病名や診断名ではありません。腰の関節や椎間板、筋肉・靭帯などが関わることがありますが、呼び名だけでは傷んだ場所までは分かりません。[1]
多くは時間とともに軽くなりますが、まれに、急いで確認が必要な病気やけがが隠れていることがあります。最初に、次の症状がないかを確かめてください。
すぐに救急受診が必要な症状
- 両脚に痛み・しびれ・力の入りにくさが出た
- 股の間や肛門のまわりの感覚が鈍い
- 尿が出にくい、尿や便が漏れる
- 胸の痛みを伴う
- 大きな事故や転落のあとに痛みが出た
自分で運転せず、移動が難しい場合はタクシーなど無理せずに[2]
その日のうちに医療機関へ相談する症状
- 発熱や悪寒がある、全身の具合が悪い
- 急に始まった非常に強い痛み、または急速に悪化している痛み
施術の予約やLINEの返信を待って様子を見る状況ではありません。[2]
早めに整形外科を受診したい症状
- 片脚でも、脚に痛みやしびれがある、力が入りにくい
- じっとしていても楽にならない、動きや時間帯に関係なく痛む
- がんの治療歴がある、ステロイド薬を使っている、理由の分からない体重減少がある
日本整形外科学会の案内と、腰痛診療ガイドライン2019が「危険信号」として挙げる項目をもとにした目安です。当てはまる場合は、先に医療機関で確認を受けてください。[1][10]
同ガイドラインは、発症した年齢(20歳未満、55歳超)も確認する項目に挙げています。年齢だけで病気の有無や受診の急ぎ具合が決まるわけではないため、上の症状と合わせて判断してください。[10]
2.ぎっくり腰の直後は安静?動いてよい?
受診を急ぐ症状がなければ、長く寝込まず、痛みの許す範囲でこまめに動くことが基本です。国内の腰痛診療ガイドライン2019も、急性腰痛では安静より活動を保つほうが有用としています。[2][4][6][10]
脚に広がる痛みやしびれ、力の入りにくさがある場合は、第1章の受診目安を確認し、動いてよい範囲を医師に相談してください。[1][10]
以下は、第1章の症状がなく、医師から安静などの指示を受けていない方に向けた過ごし方です。
動き方の目安
- 楽な姿勢で休みながら、室内を短く歩く。一度に長く歩く必要はありません。
- 同じ姿勢を続けない。座るときは20〜30分を目安に姿勢を変えます。[6]
- 低く沈み込むソファーや床での座り方を避ける。座面が沈みにくく、立ち上がりやすい高さの椅子を選びます。[6]
- かがむ・重い物を持ち上げる動作は、痛みが強い間は控える。[7]
動いたときに少し痛むことは、必ずしも身体の損傷や悪化を意味しません。ただし、痛みを我慢して動き続ける必要もありません。[4][9]
休むときの姿勢
横向きになり、膝を軽く曲げて、両膝の間に枕やクッションを挟む姿勢を試してください。仰向けが楽な方は、膝の下に枕を入れる方法もあります。合う姿勢には個人差があるため、痛みの出にくい位置を探しましょう。[5]
発症直後のストレッチは控えめに
動かすと強く痛む間は、腰を大きく曲げたり、ひねったりして伸ばす必要はありません。体操やストレッチは、痛みが落ち着いてから、医師や理学療法士などの助言を受けて始めましょう。発症して間もない時期の体操が役立つかどうかは、まだ十分に確かめられていません。[7][10]
中止して相談する目安
動くほど痛みがはっきり強まる、脚のしびれが増える、第1章の症状が新しく出た場合は、その動作をやめて医療機関へ相談してください。
3.冷やす・温める・コルセット・痛み止めはどう使う?
温冷の工夫は楽になる方法を選び、合わなければ中止します。処方薬や医師から指示された装具は、自己判断で変更せず処方元に確認してください。
冷やす?温める?
ぎっくり腰だから必ず冷やす、という決まりはありません。腰まわりがこわばって痛むときは、温めて楽になるかを試してみてください。国内のガイドラインも、急性・亜急性の腰痛に対する温熱を弱く推奨しています。研究で確かめられているのは、数日程度の短い期間の効果です。[2][8][10]
- 温める場合:タオルで包んだ湯たんぽなどを20分ほど当てる、または入浴・シャワーで温めます。[8][9]
- 冷やす場合:保冷剤を必ずタオルで包み、20分以内を目安にします。[7][8]
- 控える条件:感覚が鈍い場所や、皮膚に傷・異常がある場所には当てません。痛みが増す場合や、肌が赤くなった場合は中止します。[7][8][10]
浴槽への出入りがつらい間は、無理をせずシャワーにしましょう。浴槽の中で脚を伸ばして座る姿勢がつらい場合も同じです。[7]
コルセットは使ってよい?
着けると立つ・歩くことが楽になるなら、つらい動作のときの補助として使って構いません。肌に赤みやかゆみが出たら外してください。使う期間や着け方は、医師や薬剤師に確認しましょう。医師から装着の指示がある場合は、その指示に従ってください。
国内のガイドラインは、コルセット(腰椎サポート)を弱く推奨しています。短い期間、動作がしやすくなる可能性が示されています。痛みが軽くなるかどうかは、これまでの研究では確認されていませんが、研究そのものが少なく、結論は出ていません。皮膚のトラブルなどの報告もあります。[10]
痛み止めは飲んでよい?
痛みで眠れない、起き上がる・歩くことが大変なときは、痛み止めを使うことも選択肢です。痛みを和らげることが、無理のない動きを保つ助けになります。[2][6][9]
持病や飲み合わせによって使える薬が異なるため、医師・薬剤師に相談し、用量・用法を守ってください。薬で楽になっても、重い作業を一気に再開しないようにしましょう。
4.何日くらいで良くなる?仕事はいつから?
急に起きた腰痛の多くは、数週間以内に軽くなっていきます。英国の医療機関の資料では、最初の2週間で大きく軽くなる方が多いとされています。国内の腰痛診療ガイドライン2019も、急性腰痛は自然に軽くなることが多いとしています。[2][3][6][10]
ただし、回復の速さには個人差があり、長引いたり、繰り返したりすることもあります。[2] 回復までの期間については、ぎっくり腰は一日で治る?早く戻るために知っておきたいことでも解説しています。
- 仕事・家事:痛みが完全に消えるまで休む必要があるとは限りません。できる作業から少しずつ戻すことが勧められています。重い物を扱う、中腰が続くなど負担の大きい仕事は、内容や時間の調整を職場と相談しましょう。[4][6][9][10]
- 見直す目安:数週間たっても軽くならない場合は、医療機関で状態を確認しましょう。英国の資料では、6週間を一つの目安としています。[6]
5.医療機関と当院、どちらに相談する?
第1章の症状がある場合は、そこに記載した緊急度に応じて、救急受診・当日中の相談・早めの整形外科受診を優先してください。当院では、画像検査や病気の診断は行えません。
痛みの原因を検査で確かめたい、薬の処方を希望する場合も、医療機関へご相談ください。数週間たっても軽くならないときは、医療機関で確認を受けましょう。
からだ鍼灸整骨院に相談できるケース
- 第1章の症状がなく、立ち上がり・寝返り・前かがみなどの動作がつらい
- 医療機関で大きな異常はないと言われたが、動きづらさが続いている
- 仕事や家事に戻るための身体の使い方を相談したい
- ぎっくり腰を繰り返していて、負担のかかり方を見直したい
お話を伺ったうえで、医療機関での確認が先だと考えられる場合は、その旨をお伝えします。
6.からだ鍼灸整骨院では何を確認し、どう施術する?

静岡市葵区のからだ鍼灸整骨院では、痛めたきっかけ・痛む場所・つらくなる動作を手がかりに、痛みに関係していそうな筋肉や靭帯を見立てて施術します。この章は一般的な医学知識ではなく、当院の確認と施術の方針です。
来院から施術後までの流れ
- お話を伺う:痛めたきっかけ、いちばん困っている動作、仕事や生活での負担、医療機関の受診状況を整理します。
- 動きと筋肉を確認する:前かがみ・起き上がり・立ち上がり・寝返りなどのうち、つらい動作を無理のない範囲で確かめ、筋肉に触れたときの反応や股関節の動きと照らし合わせます。強い痛みを出すために動作を繰り返すことはしません。
- 施術する:見立てた筋肉へ、筋膜リリースや鍼で施術します。方法は身体の状態に合わせて選び、横向きなど、つらさの少ない姿勢で行います。鍼は必ず行うものではなく、苦手な方は鍼を使わない方法を中心に進められます。
- 同じ動きで確かめる:最初につらかった動作をもう一度行い、変化を一緒に確認します。
- 施術後の過ごし方をお伝えする:座り方や荷物の持ち方など生活での工夫と、次回の目安をご案内します。変化が乏しい場合は、方法の見直しや、医療機関での確認を優先することもあります。
腰のどこを見ているのか:5つの着目点
施術する場所を考えるときは、次の5つに着目します。当院が施術方針を考えるための見方であり、腰痛診療ガイドラインの分類や診断名ではありません。動作や触診だけで、傷んでいる組織を確定することもできません。
- お腹側の筋肉(大腰筋〈だいようきん〉・腸骨筋〈ちょうこつきん〉):股関節を曲げるときに働く筋肉です。座っているときや前かがみ、立ち上がりでつらい場合に、股関節の曲げ伸ばしと合わせて確認します。
- 腰の筋肉(腸肋筋・最長筋・多裂筋〈たれつきん〉・腰方形筋〈ようほうけいきん〉):身体を起こす、横に倒す、姿勢を支える筋肉です。起き上がりや寝返りでのつらさと照らし合わせます。
- お尻の筋肉(大殿筋・中殿筋・梨状筋〈りじょうきん〉):立ち上がりや歩行で股関節と骨盤を支える筋肉です。「腰」と感じている場所が、お尻の上部や外側に当たることもあります。
- 仙腸関節(せんちょうかんせつ)とその周辺の靭帯:仙腸関節は、骨盤の中央の仙骨と左右の腸骨をつなぐ関節です。腰の中央より骨盤の片側が痛む場合に、寝返りや体重移動でのつらさと合わせて確認します。
- 複数が重なっている場合:一つに無理に当てはめず、生活でいちばん困っている動作を起点に、施術の優先順位を考えます。
施術で目指すことと、その限界

痛みを和らげ、困っていた生活動作を行いやすくすることを目指します。ただし、施術を受ければ早く良くなるとは言い切れません。変化の出方には個人差があるため、毎回、同じ動きで確かめながら進めます。
鍼やマッサージの研究上の評価は、資料によって分かれています。米国内科学会のガイドライン(2017年)は、脚へ広がる神経の症状を伴わない急性・亜急性の腰痛について、薬以外の選択肢として温熱・マッサージ・鍼などを挙げています。国内の腰痛診療ガイドライン2019は、国内では研究が十分でないとして、鍼・マッサージ・徒手療法の推奨の強さを示していません。[3][10]
また、研究で用いられた鍼やマッサージの方法は一様ではなく、当院の施術と同じとは限りません。研究の結果をそのまま当院の施術に当てはめることはできず、効果を保証するものでもありません。
7.相談・予約と来院前のご案内
当院は予約制です。LINEまたはお電話(054-251-7113)でご連絡ください。
- 伝えていただきたいこと:いつ・何をして痛めたか、いちばん困っている動作、医療機関の受診状況
- 所要時間と料金:初回は80分または110分のプランです。施術は基本的に自費でのご案内です。金額は料金のご案内をご確認ください。
- 服装:動きやすい服装が向いています。お着替えの用意もあります。
- 場所と休診日:静岡市葵区水道町86。水曜・木曜は休診です。受付時間と駐車場はアクセスをご覧ください。
ぎっくり腰の施術について / はじめての方へ / 腰痛の施術について
※第1章の症状がある場合は、LINEの返信を待たず医療機関へご相談ください。
参考資料
作成:からだ鍼灸整骨院(静岡市葵区)。第1〜4章は下記の公開資料に基づく一般的な情報、第5〜7章は当院の方針とご案内です。個別の診断に代わるものではありません。
資料確認日:2026年10月5日。本文中の[ ]内の番号は、下記の資料に対応します。
- 日本整形外科学会「ぎっくり腰」 — ぎっくり腰の意味、考えられる背景、脚の症状があるときの整形外科受診について。
- NHS「Back pain」 — 経過、活動の継続、温冷の利用、痛み止め、救急・当日受診の目安について。
- American College of Physicians「非神経根性腰痛の治療ガイドライン解説」 — 脚へ広がる神経の症状を伴わない腰痛が対象。急性・亜急性腰痛の経過と、薬以外の選択肢について。2017年公表。
- Cambridge University Hospitals「Back pain」 — 活動を続けること、痛みと損傷の関係、仕事への復帰について。
- Mayo Clinic「Sleeping positions that reduce back pain」 — 横向き・仰向けで休むときの姿勢と枕の使い方について。
- The Dudley Group NHS Foundation Trust「Acute Low Back Pain」 — 椅子の選び方、20〜30分ごとの姿勢変更、回復の経過と6週間の目安、痛み止めについて。
- East Kent Hospitals「Back injury: aftercare advice」 — かがむ・持ち上げる動作を控える期間、温冷時の皮膚の注意、浴槽での姿勢、体操を始める際の助言について。
- Gloucestershire Hospitals「Ice and heat treatment」 — 冷却・温熱の時間と注意点について。
- North Bristol NHS Trust「Your back and how to look after it」 — 発症初期の活動、温熱の当て方、痛み止めの役割、痛みと損傷を区別する説明について。
- 日本整形外科学会・日本腰痛学会監修「腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)」 — 2019年発行。自然経過、職業と腰痛、危険信号、安静と活動性維持、温熱・コルセット、運動療法、代替療法の各項目を参照。
掲載元:静岡市葵区のからだ鍼灸整骨院。院長:長野圭佑(柔道整復師・はり師・きゅう師)。





