ぎっくり腰の原因は、レントゲンでは断定できない
厚生労働省HPの「腰痛対策」によると、
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/anzen/kenkou02/r1.html#20
医師の診察および画像の検査(X 線や MRI など)で腰痛の原因が特定できるものを特
異的腰痛、厳密な原因が特定できないものを非特異的腰痛といいます。
ぎっくり腰は、椎間板(ついかんばん)を代表とする腰を構成する組織のケガであり、医療機関では腰椎捻挫(ようついねんざ)又は腰部挫傷(ようぶざしょう)と診断されます。
しかしながら、厳密にどの組織のケガかは医師が診察しても X 線検査をしても断定できないため非特異的腰痛と呼ばれます。
腰痛の約 85%はこの非特異的腰痛に分類されます。通常、腰痛症と言えば非特異的腰痛のことを指します。
ぎっくり腰はどのような状態なのか?
ぎっくり腰は、痛めた時のきっかけがわかります。
例えば、掃除機を掛けていた時、重い物を持ち上げようとした時、トイレから立ち上がろうとした時など、今ぎっくり腰になったとわかることが多いです。
ぎっくり腰は、急性腰痛、腰椎捻挫とも言われ、痛めた時から強い腰痛を感じ動けなくなります。
筋肉や靭帯などの軟部組織に負担が掛かり、損傷や炎症が起きて痛みを感じている状態になり、損傷した組織や体を動かすのに関連した組織が過度に緊張して痛みを感じることが考えられます。
その為、特定の動きで強い痛みを感じてしまいます。重症化すると全く動けなくなることもあります。
ぎっくり腰原因タイプは?
ぎっくり腰は、人により損傷している組織が違う為、まずはどの組織を痛めている可能性があるのか?知ることが重要になります。ぎっくり腰の原因を5つのタイプに分類しました。
では、あなたはどのタイプのぎっくり腰なのかを見ていきましょう。
- 腸腰筋タイプ
- 脊柱起立筋タイプ
- 殿筋タイプ
- 仙腸関節靭帯タイプ
- 複合タイプ
1.腸腰筋タイプ
大腰筋・腸骨筋
腸腰筋タイプは、腸腰筋(大腰筋と腸骨筋)の損傷や緊張が強くなり腰に痛みを感じます。
実はぎっくり腰で一番の原因になる筋肉です。
腸腰筋は、腰の前屈みや足を前に上げる働きです。
前屈みで落ちた物を拾う、歩く動作が大変な方は、腸腰筋タイプの可能性があります。
日常生活かなりの頻度行う動作で、筋肉が緊張しやすいが、緊張していることがわからない筋肉になります。
2.脊柱起立筋群タイプ
表層筋:腸肋筋(左) 最長筋(右) 深層筋:腰方形筋(左) 多裂筋(右)
脊柱起立筋群タイプは、最長筋・腸肋筋・多裂筋・腰方形筋が損傷や緊張が強くなり腰に痛みを感じます。
脊柱起立筋群は、腰を反らせる、横に倒す、捻る、姿勢を保つ時に働きます。
腰を反らせる時、朝起きて立ち上がる時、長時間同じ姿勢の時に痛みを感じる方は、脊柱起立筋群タイプの可能性があります。
3.殿筋タイプ
中殿筋・梨状筋などの外旋六筋
殿筋タイプは、大殿筋・中殿筋・梨状筋などの外旋六筋が損傷や緊張が強くなり腰に痛みを感じます。
大腰筋は、足を後ろに蹴る動きや、立上がる時に働きます。
中殿筋は、足を外に動かす時に働きます。例:車の乗り降り
梨状筋は、あぐらや足を組む時に働きます。
殿筋は、座っている時や立っている時に体を支える働きがあります。
長時間座って立ち上がる時や車の乗り降りで痛みを感じる方は、殿筋タイプの可能性があります。
4.仙腸関節靭帯タイプ
前仙腸靭帯・後仙腸靭帯・腸腰靭帯・仙結節靭帯
仙腸関節靭帯タイプは、前仙腸靭帯・後仙腸靭帯・腸腰靭帯・仙結節靭帯が損傷や緊張が強くなり腰に痛みを感じます。
仙腸関節靭帯は、仙腸関節を支えて動きを感じるセンサーとなり、筋肉の働きのバランスをとること働きがあります。
腰の中央奥が痛むときや腰の動かし始めや最後のタイミングで痛みを感じる方は、仙腸関節靭帯タイプの可能性があります。
5.複合タイプ
上記の2つ以上が該当する方、全く動けない状態の方は、複合タイプの可能性があります。
複合タイプの場合は、痛めている組織が広範囲で重症化しやすく、痛みが長期期間にわたるケースが多くあり、特に注意が必要です。
ぎっくり腰を一日でも早く治す5つのポイント
ぎっくり腰になってしまうと、生活に多くの支障が出ます。
からだ鍼灸整骨院では、ぎっくり腰は月間10人以上来院されます。
実際にぎっくり腰の患者様にお伝えして、効果が高い方法を5つのポイントをお伝えします。
一刻も早くぎっくり腰を改善して、日常生活を痛みなく過ごせるようになりましょう。
- ぎっくり腰の原因を知ること
- 同じ姿勢を極力せず、痛みのない範囲動くこと
- 入浴や貼るカイロによる患部を保温
- コルセットは極力使用しない
- タンパク質の摂取
1.ぎっくり腰の原因を知ること
ぎっくり腰の原因なんて、どうでもいいから早く治したいと思うかもしれません。
情報が多い時代では、検索すれば様々なぎっくり腰のセルフケア方法があります。
ぎっくり腰を早く治す上で、大切なことは損傷している組織を知ることです。
なぜなら、腸腰筋を損傷しているのに、前屈していると腸腰筋はさらに緊張して症状は悪化してしまいます。
今後ぎっくり腰にならない為にも、原因を知ることが重要になります。
2.同じ姿勢を極力せず、痛みのない範囲動くこと
一昔前、ギックリ腰は3日間寝れば治ると言われていました。
しかし、時代とともに常識は変わり、現在では「ギックリ腰は安静にするよりも動いた方が経過良好」と言われています。
ずっと寝て安静にしていると、寝ている時に痛みは感じませんが、筋肉や靭帯は緊張してしまい、起き上がる時に強い痛みを感じて更に筋肉が緊張してしまいます。
また、安静時には筋肉に血液が必要最小限しか供給されない為、回復が遅くなってしまいます。
痛みの範囲で動くことで、筋肉に血液が供給され、緊張が軽減していくことで、動ける様になっていきます。
具体的には、痛みが出ない範囲で10分程度のお散歩を行い、家や仕事中でも座りっぱなし・立ちっぱなしで30分以上続けないことが重要で、座っていば一度立上がり、立っていたら少し座って、筋肉や靭帯に負担をかけ続けないことです。
ただし、ぎっくり腰の時には、ストレスや体操は禁物です。
痛みを感じて、無理にストレッチや体操をしても、筋肉が緊張してしまい、状態が悪化してしまうことがあります。
3.入浴や貼るカイロによる患部を保温
一昔前、ぎっくり腰は炎症だからアイシングと言われていました。
しかし、筋肉や靭帯は緊張が改善せず、体の動きが良くならないことがあります。
痛みが出ない様に注意して、入浴をすることをお勧めします。
入浴することで、筋肉や靭帯の血流が良くなり、緊張が軽減し損傷している組織の回復が早まります。
湯船に入る・出る動作に気を付けて、10分から15分程度入浴をしてください。
のぼせや循環器に問題がある方は、無理に入浴しないようにしましょう。
温感湿布では、だめですか?とよく聞かれます。
温感湿布は、カプサイシンなどの成分が皮膚を温かい感覚にさせているだけで、実際に患部は温めていません。湿布は、経皮鎮痛消炎剤といい皮膚から痛み止めを摂取して、痛みを軽減させます。
痛みが強い場合には、痛み止めは錠剤で摂取したほうがいいです。
貼るカイロは、直接患部を温める事ができるので、ぎっくり腰のセルフケアでお勧めです。
貼るカイロの使用方法としては、貼るカイロのミニタイプを使用します。レギュラータイプは温度が上がり過ぎてしまう為。
貼る場所は、お尻や仙骨上が温まる様に下着の上に貼ります。*皮膚に直接貼らないこと。
また、低温やけどに注意してください。皮膚がヒリヒリする場合には、使用を中止してください。
4.コルセットは極力使用しない
ぎっくり腰のケアで、コルセット使用も定番ですが、極力使用しない方が予後はいいです。
なぜなら、ぎっくり腰の原因は腰椎の問題のケースは少なく、ぎっくり腰でコルセット使用しても、痛みが変わらない方が多いです。
また、コルセットの使用により、逆に筋肉や靭帯が硬くなってしまい、長期間の使用により筋力が低下し腹圧が下がってしまい、姿勢を保持する力が低下してしまいます。
ただし、重い荷物を持ち上げる時や介護や育児など、負担が強くかかる場合には、そのタイミングだけコルセットを使用するといいです。
5.タンパク質の摂取
ぎっくり腰なのになんで?タンパク質?と思うかもしれません。
動物はケガをした時、自然治癒力を持っていて、自力で回復することができます。
タンパク質は組織を回復させる材料になる、大切な栄養素になります。
ぎっくり腰になると、食欲不振になることがありますので、タンパク質が多く含まれている食べやすい食品を摂取することをお勧めします。
お肉であれば、鶏むね肉、ささみ、ヒレなど。魚であれば、マグロやサバ、鮭など、大豆製品、乳製品、卵など
タンパク質を吸収できる量には限界があります。
一食だけタンパク質を大量に摂取するのではなく、毎食ごとタンパク質をプラスして摂取することをお勧めします。
ぎっくり腰の早期改善には「筋肉の痛み専門家」へご相談を
ぎっくり腰では、一日でも早く痛みなく日常生活を過ごす為には、緊張が強く損傷している組織を回復させて、関節の動きを正常にすることです。
ぎっくり腰は急性症状の為、長くても3週間我慢すれば痛みは軽快していくことが、ほとんどです。
しかし、痛みを感じなくなっても、動きが悪い状態が継続していたり筋肉や靭帯の緊張が強いままの方
が2回3回とぎっくり腰を繰り返してしまうことがあります。
原因を知り、組織を回復させるのにも、「筋肉の痛み専門家」にご相談して頂き、早期治癒を目指しませんか?