
1.腰と股関節を動かす筋肉の働き

腰の後ろ側の筋肉は、身体を反らす・横に倒す・ひねる動きを支えます。大腰筋・腸骨筋は股関節を曲げる動き、殿筋は脚を後ろや横へ動かす働きに関わります。[4][5][6]強く揉む、長く伸ばすなど、一つの方法を繰り返す前に、今の状態を確認しましょう。[1][2]
腰痛には、筋肉や関節のほか、椎間板・神経、骨折、内臓の病気などが関係する場合があります。痛む場所や動作だけで、原因となる組織は決められません。[1]
2.救急・当日の受診が必要な症状
すぐに救急受診を優先する場合
腰痛に次の症状を伴う場合は、セルフケアや施術の予約を待たず、救急受診を優先してください。[2]
- 両脚の痛み・しびれ・力の入りにくさ
- 股の間や肛門のまわりの感覚が鈍い
- 尿が出にくい、尿や便が漏れるなどの変化
- 胸の痛み
- 大きな事故や転落の後に始まった痛み
自分で運転せず、移動が難しい場合は119番で助けを求めてください。
当日中、または早めに医療機関へ相談する場合
発熱や悪寒で具合が悪い、突然非常に強く痛む、急速に悪化する場合は、その日のうちに相談してください。[2]
片脚のしびれや力の入りにくさ、夜間や安静でも続く痛み、理由の分からない体重減少がある場合も、早めに整形外科などを受診しましょう。転倒などのケガの後から痛む場合、がんや骨粗しょう症の治療中・治療歴がある場合は、そのことを医師に伝えてください。[1][2]
3.検査をしても、原因が一つに絞れないことがある

診察や画像検査でも、痛みの原因となる組織を厳密に特定できない腰痛を「非特異的腰痛」と呼びます。画像に変化があっても痛まない人がいる一方、画像だけでは痛みを説明できない場合もあります。[3]
そのため、検査結果とともに、痛みの経過や診察所見を確認して対応を選びます。痛い場所を押して硬さを見つけても、それだけで原因が判明したとは言えません。[1][3]
4.腰・股関節を動かす筋肉と、骨盤まわりの靭帯
ここでは、腰の周囲にある組織の位置と働きを紹介します。図や動作から、自分の腰痛を特定の筋肉の「タイプ」に分類するためのものではありません。
大腰筋・腸骨筋

大腰筋と腸骨筋は、腰や骨盤と太ももの骨をつなぎ、股関節を曲げる動きなどに関わります。[4][6]
腰の後ろ側の筋肉


腸肋筋・最長筋・多裂筋などは、身体を反らす、横に倒す、ひねる動作を支えます。腰方形筋は、身体を横に倒す動きなどに働きます。[4][5]
お尻の筋肉

大殿筋は脚を後ろへ動かす、中殿筋は脚を横へ開くなど、股関節の動きに関わります。腰の動作を確認するときには、股関節を動かす筋肉も合わせて見ます。[6]
仙腸関節まわりの靭帯

骨盤には、前仙腸靭帯・後仙腸靭帯などの靭帯があります。腰の奥や骨盤付近が痛む場合も、筋肉だけに絞らず、症状や診察の結果と合わせて確認します。[1]
5.薬やコルセットを自己判断で変えない

薬や湿布は、つらい時期の痛みを和らげるために使われます。合う薬や使い方は、持病や併用薬などで異なります。処方された薬を自己判断で中止・増量せず、効き方や副作用が気になる場合は医師や薬剤師へ相談してください。[2][7]
医師からコルセットの使用を指示されている方は、その指示を優先します。自分で使い始めるか、いつまで使うか迷う場合も、医療機関で確認しましょう。[1]
6.動くときの中止・相談の目安

無理に筋肉を伸ばし続けるより、痛みが増える動作を確かめ、日常の動き方を状態に合わせて調整します。[1][2]
受診が必要な症状や医師からの制限がなければ、歩く・家事をするなど、できる活動を無理のない範囲で続けます。長く寝込むことは避け、運動やストレッチで痛みが強まったら中止して相談してください。[2]
入浴で楽に感じる場合も、熱い湯や長湯を我慢する必要はありません。体調が悪いときや、持病による制限がある場合は、その日の体調と医師の指示を優先します。
運動の種類や量が分からない場合は、整形外科で自分に合う方法を相談してください。数週間たっても改善しない、仕事や家事が難しい状態が続く場合も、受診の目安です。[1][2]
7.当院で確認すること
からだ鍼灸整骨院では、座った後に立つとき、荷物を持つときなど、困っている動作を伺います。姿勢・動作と筋肉・筋膜の状態を確認し、状態に応じてトリガーポイント鍼や筋膜リリースを行っています。
当院では、病気の診断や画像検査は行えません。医療機関で受けた説明や運動の制限があればお知らせください。受診を急ぐ症状がある場合は、先に医療機関へご相談ください。
症状の経過や診察をもとに原因を調べる考え方は、腰痛の「原因」と「タイプ」の違いで説明しています。安静・運動・湿布・コルセットで迷うときは、腰痛の対処Q&Aもご覧ください。
参考資料
一般向けの情報です。個別の診断や治療指示に代わるものではありません。資料確認日:2026年10月6日。
- 日本整形外科学会「腰痛」 — 腰痛の多様な原因、受診を優先する症状、状態に応じた治療・運動の相談。
- NHS「Back pain」 — 救急・当日受診の目安、日常活動、運動で悪化したときの中止。国内の受診案内に合わせて表現を調整。
- 厚生労働省「腰痛対策」(PDF) — 原因が特定しきれない腰痛、画像所見と症状を合わせて考えること。本文中の古い頻度推計は引用していない。
- UAMS「Muscles of the Abdominal Region」 — 大腰筋・腰方形筋などの位置と働き。
- UAMS「Muscles of the Back Region」 — 腸肋筋・最長筋・多裂筋などの働き。
- UAMS「Muscles of the Lower Limb」 — 腸骨筋、殿筋などの位置と働き。
- PMDA「お薬または医療機器を使われている方へ」 — 医療用医薬品を自己判断で中止・変更しない注意。
腰痛の頻度に関する旧資料:厚生労働省 平成28年 国民生活基礎調査の概況「世帯員の健康状況」(PDF)。2016年の調査であり、現在の頻度の説明には用いていません。





