約10人に1人が日常生活でつらいと感じている腰痛
デスクワークや長時間の運転、立ち仕事、朝起きる時などの日常生活で感じる重だるい腰痛は、
湿布を貼ったり、ストレッチを自分で行っても、なかなかスッキリしないことが多く、多くの人が痛みを抱えて困っている症状です。
厚生労働省実施の平成28年国民生活基礎調査の「 性別にみた有訴者率の上位5症状(複数回答)」によると、男性は腰痛が1位、女性は腰痛が2位となっており、
約10人に1人が腰痛を感じていることになります。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/04.pdf
日常生活で感じる腰痛の85%は原因がはっきりわからない
腰痛は症状が長期化してくると、腰痛だけでなく、お尻や背中、首肩までコリ感、緊張感が強くなり、
辛くなることがあります。
また、整形外科でレントゲンやMRIを撮っても、骨には異常がない事が多いです。
厚生労働省HPの腰痛対策によると、非特異的腰痛(原因が特定しきれない腰痛)は85%に上ります。
残りの15%は椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など画像診断できる腰痛になります。
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/1911-1_2d_0001.pdf
レントゲンなどで原因がわからない腰痛は、骨や椎間板以外の筋筋膜や靭帯が関係することが多くあります。
腰痛は腰の筋肉が悪いだけではない?あなたの腰痛はどのタイプ?
多くの人が抱えている腰痛ですが、一括りに『腰痛』と言っても、人それぞれ原因となるコリや緊張は違います。
当たり前の話ですが、人それぞれ骨格も違えば、ライフスタイルや姿勢も違います。
例えば、毎日重いものを持ち上げる仕事の人の腰痛と、長時間座るデスクワークの人の腰痛とは、身体に負担がかかる場所が違います。
まずは腰痛は腰だけが原因ではないことを理解していただくために、
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、その他の病的な腰痛は除き、レントゲンやMRIでは写らない、筋筋膜や靭帯が問題となるケースの腰痛を大きく5タイプにわけました。
- お腹の筋肉タイプ
- 腰の筋肉タイプ
- お尻の筋肉タイプ
- 仙腸関節の靭帯タイプ
- 複合タイプ
1.お腹の筋肉タイプ
大腰筋・腸骨筋
お腹側の筋肉タイプは、大腰筋・腸骨筋が硬くなり腰に痛みを感じます。
お腹側の筋肉が悪いのに?腰痛を感じる?多くの人は疑問に感じると思います。
実は多くの人が緊張しているけど、コリを感じにくい筋肉です。
大腰筋、腸骨筋の働きは、股関節の屈曲と言う動きになります。
座っている姿勢や、立って前屈をする時に働いています。
腰を反らせる(後屈)は痛くないけど、前屈だと腰が痛い、座っていると腰が重だるくなる方は、
大腰筋・腸骨筋のコリ、緊張が強い可能性があります。
2.腰の筋肉タイプ
表層筋:腸肋筋(左) 最長筋(右) 深層筋:腰方形筋(左) 多裂筋(右)
腰の筋肉タイプは、最長筋・腸肋筋・多裂筋・腰方形筋が硬くなり腰に痛みを感じます。
腰の筋肉は主に、表層筋の腸肋筋・最長筋と深層筋の腰方形筋・多裂筋あります。
腰の筋肉は腰を反らせたり(後屈)、身体を横に倒したり(側屈)、身体を捻ったり(回旋)で働きます。
座っている時に、頭の重さを支えたり、姿勢を保っています。特に、深層の筋肉が働いており、長時間座っていてると緊張しやすくなります。
立っている時には、物を持ち上げる時や腰を反る(後屈)ときに働いています。
3.お尻の筋肉タイプ
中殿筋・梨状筋などの外旋六筋
お尻の筋肉タイプは、大殿筋・中殿筋・梨状筋などの外旋六筋が硬くなり腰に痛みを感じます。
大腰筋の主な働きは、足を後ろにやる動き(股関節伸展)になり、立上がる時に使う筋肉です。
中殿筋や梨状筋などの外旋六筋は各筋の働きがありあますが、日常生活では、座っている時に上半身を支える働きがあります。
お尻の筋肉は日常生活でかなり使用頻度が高く、座っている・立っている・歩いている時でも使われ、日常生活の様々なタイミングで痛みを感じる、コリ感を感じる筋肉です。
お尻の筋肉は、「痛いところはどこですか?」と患者様に伺うと、腰だと言って指を指しますが、解剖学的には、股関節(お尻)の筋肉になります。
4.仙腸関節の靭帯タイプ
前仙腸靭帯・後仙腸靭帯・腸腰靭帯・仙結節靭帯
仙腸関節の靭帯タイプは、前仙腸靭帯・後仙腸靭帯・腸腰靭帯・仙結節靭帯が硬くなり腰に痛みを感じます。
仙腸関節の靭帯の主な働きは、関節の動きを感じ、筋肉の働きのバランスをとることです。
日常生活で同じ姿勢や繰り返しの動作をしていると、仙腸関節の靭帯が緊張し、センサー(受容器)がうまく働かなくなり、身体をスムーズに動かすことが難しくなります。
仙腸関節の靭帯の腰痛は、腰の奥が痛むときや身体の動かし始めや最後のタイミングで痛みを感じることがあります。
5.複合タイプ
複合タイプですが、腰痛を長く感じている方や仕事や日常生活で腰を酷使する方は、広範囲に緊張が波及しており、身体の動きも悪くなっていることが多くあります。
前後屈、側屈もうまくできない、じっとしている事が痛くてできない方は、このタイプの可能性があります。
スッキリしない腰痛は、筋肉治療をする必要があります
その場しのぎの痛み止めや湿布で治らない理由は、日常生活の動作のなかで、筋肉や靭帯の緊張が起き続けているため、回復することが難しくなります。
また、ストレッチなどのセルフケアでも効果はありますが、前述したように様々なタイプの腰痛があるため、適切に自身の身体の状態を把握し、セルフケアを行う必要があります。場合によっては、逆に緊張してしまったり、症状が悪化することもあります。
まず腰痛を改善するうえで重要なことは、どのタイプの腰痛なのかを知ることです。
お腹側の大腰筋や腸骨筋のコリや緊張が原因で痛みが出ているのに、腰を一生懸命マッサージしても、一時的には楽になるかもしれませんが、またすぐに戻ってしまいます。
痛みの原因となる筋肉や靭帯を見つけ出し、適切な施術を行うことが、腰痛の根本的な解決になります。その為、筋肉や靭帯の痛みに対する専門的な知識・技術が必要になります。
お腹の筋肉も、腰やお尻の筋肉も何層にも重なっています。症状によっては深層の筋肉へのアプローチが必要となります。
腰痛を感じないための日常生活でのポイント
腰痛を感じないための日常生活でのポイントは、
- 同じ姿勢を30分以上しないこと
- 入浴や軽い運動などで血流をよくすること
- コルセットは極力使用しないこと
1.同じ姿勢を30分以上しないこと
同じ姿勢を続けるということは、決まった筋肉に常に負担をかけて、血流も悪くなります。
ずっと腕を上げでいたら大変ですよね?
腰の筋肉も腕の筋肉も働きは違いますが、同じ筋肉です。一定の時間負担がかかれば、その分腰はつらくなります。デスクワークや長時間の運転でも、30分に一度立上がるだけでも、腰痛を予防することができます。
2.入浴や軽い運動などで血流をよくすること
筋肉に酸素や栄養素を運んでくれるのは血液です。血流を良くすることが腰痛改善には重要です。
腰痛になると、どうしても安静になり、休日は家でゴロゴロしてしまいがちです。
それでは、余計に血流が悪くなり、筋肉の状態も悪くなってしまいます。
まずは、無理のない程度でいいので、入浴や軽い運動(ストレッチやウォーキングなど)を行い、血流を良くしましょう。
3.コルセットは極力使用しないこと
腰痛なのにコルセットをしないの?と疑問に思うかもしれません。
確かにコルセットは、巻いている時は腰が安定して、安心感があります。
しかし、コルセットを巻き続けていては、腰やお腹の筋肉が使われなくなり、弱ってしまいます。
コルセットを使用する正しいタイミングは、重いものを持ち上げる時など腰に負担がかかる時です。
長時間の座る時や寝ている時には巻かない方が、いいと思います。
スッキリしない腰痛は「筋肉の痛み専門家」で早期解決を!
スッキリしない腰痛は、日常生活での同じ姿勢や繰り返しの動作で問題となる組織には、すでに緊張やコリが形成されています。
同じように日常生活を送り、組織に負担をかけ続けでいると、痛みを感じるようになり、身体の動きが悪くなります。身体の動きが悪くなることで、かばう動作(代償動作)になるため、負担がかかる場所が広がっていきます。膝や股関節、背中、首など症状が悪化していくこともあります。
早期解決することが重要になります。
重だるい腰痛でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。